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どろどろちゃん

Column

岡先生

コラム

岡村地質のマスコットキャラクター、”どろどろちゃん”と”岡先生”が地質・地盤についてわかりやすく解説します! ほぼ毎月更新の会長ブログも見てね!

01 地質・地盤とは

地層の調べ方

・・・・・後日

どろどろちゃん

どろどろちゃん

こんにちは!岡先生。

岡先生

岡先生

こんにちは、ドロドロ。今日はもう学校は終わったのかい?

どろどろちゃん

どろどろちゃん

はい! あの、先生、土と石のお話で不思議に思った事があるんですけれど・・・。

岡先生

岡先生

うん。何を不思議に思ったのかな?

どろどろちゃん

どろどろちゃん

土と石にいろいろな種類がある事は分かったのだけれど・・・、じゃあ、筑波山にある様な大きな石が土岡にはないのは何ででしょうか?

岡先生

岡先生

そうか。ドロドロには「地層」の話を詳しくしていなかったね。
岩石や土・砂などが、たまってできた層を「地層」という。実は私たちの足元にある地面は、どこでも同じ地層でつくられている訳ではないんだ。地面の、どこにどんな地層が分布しているか、又その地層がどんなかたちで・どんな特徴を持って存在しているか、これらを図に表したものを「地質図」という。地質図は、土地の履歴書・成り立ちの解説書、とも言えるだろう。
『地質図ってなに?何に使うの?』(産業技術総合研究所)open_in_new

どろどろちゃん

どろどろちゃん

(『地質図ってなに?何に使うの?』に掲載されている地質図を見ながら)
うわあ。色とりどりできれいだね!!土岡の地質図はどんな風になっているんだろう!?岡先生教えて下さい!

岡先生

岡先生

土岡の地質図は今現在作成中なんだ。でも、土岡の地面の下がどんな地層でできているかは、露頭(地層が地表面上に現れているところ)を観察したり、地質調査現場で見ることができる。
今度一緒に露頭観察と、地質調査現場を見学に行くかい?

どろどろちゃん

どろどろちゃん

はい!

・・・岡先生とドロドロちゃんは、お天気の良い日曜日、県内の露頭(ろとう)現場を観察してまわりました。

露頭(ろとう)
岡先生

岡先生

さあ、この崖を見て、何か気づいたことはあるかな?

どろどろちゃん

どろどろちゃん

ええと、崖は、白い砂でできてます。崖全体に、横筋状の模様が入っているように見えます。筋に沿って茶色く色がついている部分もあります。

岡先生

岡先生

こういった、地面下の地層が見えている場所(崖や河床など)を「露頭(ろとう)」という。これらの露頭で見えているのは未固結の砂層だね。この層がやがて固結したら「堆積岩」である「砂岩」になる。
この砂がどうやってこの場所に運ばれてきたか、その後どんな過程を経て今の状態になっているか、は露頭をよく観察する事などによって解る。
例えば、ドロドロ、さっき横筋状の模様が入っていると言ったけど筋の入っている部分をよく観察してごらん。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

砂粒の細かいものが集まっている筋と、粗いものが集まっている筋とあります。あっ、「粗い」筋の方に茶色い色がついている事が多いです。

岡先生

岡先生

うん。この筋状の部分を葉理・層理といって、その形状・大きさ・粒度などから砂の堆積した当時の環境が推測できるんだ。海だったか・川だったか、またどのくらいの深さだったか、など。
茶色い色がついているのは、この露頭の場合、鉄分を含んだ水が筋中に染み出した事によってついた色だね。「細かい」筋より「粗い」筋の方が隙間が沢山空いているだろう。水が染み出し易いんだね。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

へえ~~。先生!貝殻が砂に埋まってる。

岡先生

岡先生

これは貝の化石だね。こういった生物の化石からも当時の環境が推測できる。化石といえば、「流れの化石」といえる物も露頭に観察できる事がある。
例えば、川で砂地に立ったとき、足の周りが削れくぼみが残るだろう。そんな「くぼみ」が地層中に残ると、流れの方向が推測できるんだ。ちなみに流れの方向は葉理などからも推測できる。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

横筋や、貝殻は、全体にまんべんなく入っていないですね。

岡先生

岡先生

いいところに気がついたね。砂の堆積した環境は一定ではなかった、という事だね。ひとつの露頭中でも、葉理・層理や化石等部分だけを見ればいいという訳ではない。上下の重なり方や、上下の層持つ特徴の変化等を組み合わせる事によって、「海面上昇・下降」や「河川の蛇行」等過去に起こった大きなイベントを推測する事もできるんだ。

岡先生

岡先生

さらに、今の状態になるまでにどんな過程を経ているかについて観察すると、これら地層がどう分布しているかを表した「地質図」を書く強力な手がかりの一つとなる。これについてはもう少し解りやすい露頭に移動しよう。

露頭(ろとう)
どろどろちゃん

どろどろちゃん

地面が海に沈んでいっている!

岡先生

岡先生

先ほどの砂層よりもだいぶ古い時代の、固結した堆積岩層だ。地層全体が傾いているのが良く解るね。この地層の傾き角度・傾いている方向を測る事によって、露頭が見られない場所にも分布を推測して地質図を書く事が出来る。地層の傾きは、地殻変動などによってつくられる。

岡先生

岡先生

ちなみに火山岩、変成岩においては観察する内容や、推測するイベントが変わってくる。露頭の観察はもちろんの事、観察事項として、岩石を薄く削って顕微鏡で観察する「顕鏡観察」も重要になってくる。

岡先生

岡先生

地質図を作る目的以外でも地質調査は行われている。次回はボーリング調査現場を見学に行こう。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

はい!

・・・岡先生とドロドロちゃんは、ボーリング調査現場にやってきました。

岡先生

岡先生

先日の露頭観察には、「地質学」の知識が必要だ。しかしボーリング調査においては「土質力学」「土質工学」の知識が重要となってくる。

ボーリング調査現場
どろどろちゃん

どろどろちゃん

うわあ、3角形に鉄の棒が組んである。地面の上にある機械から車のエンジンみたいな音がしているよ。

岡先生

岡先生

ここで行われているのは「ロータリー式機械ボーリング」という。少し近づいて見学させてもらおう。

ボーリング調査現場
岡先生

岡先生

ロッド先端(正確には先端に取り付けたドリリングビット)を回転させながら地面を掘り進んで行くんだ。その後標準貫入試験を行い、サンプラーを取り上げることによって、地面下の地盤試料を手に入れることができるんだ。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

お二人とも、とっても手際が良いですね!

ボーリング調査現場
岡先生

岡先生

これが標準貫入試験だね。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

重そうなおもりを何回も紐で吊り上げて落として・・・、これで何が解るんですか?

岡先生

岡先生

地盤の「N値」を測定しているんだよ。N値とは、重量63.5±0.5kgf(622.9±4.9kN)のハンマーを76±1cm自由落下させ、標準貫入試験用サンプラーを30cm打ち込むのに要する打撃数をいう。この値から地盤の相対的な強さが推定できるんだ。(JIS A1219:2001)

どろどろちゃん

どろどろちゃん

それが「どしつりきがく・こうがく」なんですか?

岡先生

岡先生

地盤の土について、力学的な性質・知識を学んだり、研究する学問分野が「土質力学」で、それらの内容をより実務に適応させたものを「土質工学」という。
例えば、地面上や地下に建物や道路・ダムなどを造る時地盤がどれだけの力を支えられるか、今ある地盤の上に土を盛る時にその盛土はどんな性質を持っているか、又それら工事を行う際どんな方法が一番適しているか、問題が起こった際どんな対処法があるか、など。

ボーリング技士

ボーリング技士

地質調査に興味があるんだね。野外で行う調査としては、身近なものでは、木造建築物などを建てる前調査として「スクリューウェイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)」という調査がある。今度見学に来るかい?

どろどろちゃん

どろどろちゃん

いいんですか?ではよろしくお願いします!

・・・・・後日

ボーリング技士

ボーリング技士

こんにちは。岡先生、ドロドロちゃん。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

こんにちは。今日はよろしくお願いします。

岡先生

岡先生

今日はお世話になります。

ボーリング技士

ボーリング技士

今日はスクリューウェイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)を行っています。これが試験に使う用具です。

スクリューウェイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)
どろどろちゃん

どろどろちゃん

鉄の棒をモーターで回転させていますね。何回も回している内に棒がどんどん地面に入っていく。

岡先生

岡先生

棒の上についているのは重りですね。今何キログラムの重りがついているんですか?

ボーリング技士

ボーリング技士

100Kgです。今かかっている重量がこの試験でかけられる最大の重量です。かけられた重量と回転数を用いて地盤の強さを求める事ができます。

岡先生

岡先生

ロータリー式ボーリング調査と違って、地面下の地層を直接観察することが詳しく出来ないんですね。

ボーリング技士

ボーリング技士

ええ。スクリューウェイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)にはそういった限界があります。この試験は熟練した技士の手によって行われる必要があると思います。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

「スウェーデン」ってヨーロッパの国の名前ですよね?何か関係あるんですか。

岡先生

岡先生

スクリューウェイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)は、北欧のスウェーデン国有鉄道が1900年代初めに不良路盤調査方法として採用したのが始まりなんだ。1976年にはJIS規格に制定され、現在では戸建住宅向けの地盤調査の多くが本試験によって実施されている。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

そんな昔に調査方法がつくられたんですか!日本に入ってきたのは最近なんですね。

岡先生

岡先生

調査の前段階となる「掘削」の古い記録といえば、古代エジプトにおいて、宝石を植えつけた管を人力で回転させ石に孔を空け、ピラミッドの建設に利用したという記録があるそうだ。地層確認のために土を採取する事は、約100年前アメリカのGow(ガウ)陸軍大佐という人が考えたと言われている。

岡先生

岡先生

日本では、上総掘り、国友藤兵衛方式、と呼ばれる掘抜き井戸を掘る為のボーリング技術が1800年初頭からあったと言われている。日本の古い時代の土質調査記録としては、1923年に起こった関東大震災後に設立された帝都復興局の建築局に在籍していた北沢五郎氏が“上総掘り”によるボーリング調査と膨大な杭打ち資料をまとめて発表している(「建築雑誌(1932)」)。

どろどろちゃん

どろどろちゃん

沢山の国の人達が、調査方法をつくりあげていったんですね。